はい。

爬虫類は奇怪な見た目で敬遠されがちですが、手間がかからないことに定評のあるペットといわれています。

まぁ生き物なので全く手間がかからないということはないのですが、犬やらハムスターやら哺乳類の飼育を経験した上で、圧倒的に手間がかからないのは確か。
(それでも種によるとは思いますが)

とはいえ、哺乳類と違ってふれあい的な愛玩に向いた生き物でもないので、性質的には観葉植物みたいなノリかもしれない。



さて、そんな爬虫類の飼育にかかるささやかな手間、いわゆる「メンテナンス」についてお話をします。


閑話ですが、皆さんが日頃している家事というものは「短期的」「中期的」「長期的」に分別できます。

毎日しなければいけない、短期的な家事
炊事や洗濯なんかがこれですね。

週1~月1くらいでしなければいけない、中期的な家事
常備菜の仕込みやちょっとした日用品や食材の買出し、小規模な掃除などなど。

中期的な家事よりもっと長いスパンで行う長期的な家事
衣替えや模様替え、大規模な掃除、家電や家具のメンテナンスなどなど。

やること一つ一つに、それに見合ったスパンがあります。


で、爬虫類のメンテナンスというのは人間で言うところの家事を飼い主がやるという話なので、
爬虫類のメンテにも同様に「短期」「中期」「長期」の分類があります。
今日は短期的メンテナンスの話をしましょう。



◆爬虫類の短期的メンテナンス

・お世話の前後で手洗い
大事なことです。
ハンドリングの際など、爬虫類の体と触れ合う部分はきちんと手洗いしておく必要があります。
放念している人が多いと思うのですが、感染は爬虫類から人にだけでなく、人から爬虫類にも起こりうることです。
爬虫類の側を守るために、人の体を綺麗にして触れ合うことも大事です。

また、手洗いせずに手や腕などが汗ばんだ状態でハンドリングをしていると、特に蛇ではハンドリング中に餌と勘違いして噛もうとすることがあります。
(一度そのようなケースがあってから何度か検証したので、怒りなど攻撃的な理由で噛み付いたのではないと確証しています。)
動物臭いと問題なのでしょうか?石鹸でよく洗い、人臭さを取り去っておくのも大事だと思います。
あと単純に、汗ばんでいるとブドウ球菌による感染症の可能性があるので、やっぱりよく手洗いをした状態で接するのがいいでしょう。


・器具や備品の洗浄
ピンセットや水入れなど、メンテナンスで使用した器具や備品はすぐに洗浄するようにしましょう。
うちでは基本的に食器用の除菌洗剤で洗い、物によっては漂白します。


・水換え
爬虫類は意外とよく水を飲みます。
で、飲む水が不潔で、ストレスやなんやらで環境的要因が生体の免疫でどうにかなるレベルを超えたら体調を崩します。
また、水入れに糞尿をしたり、ひっくり返してしまう子が居るので、そのような場合に代わりの水を用意してあげなければなりません。
毎日~2日に1回くらいのペースで換えるのがいいかと。
壁チョロ系のヤモリでは、毎日の霧吹きは欠かせませんね。


・糞尿の掃除
爬虫類の糞は普通に臭いです。
で、爬虫類は結構嗅覚に頼って生きているので、自分の糞尿の臭いでのたうち回ることも蛇なんかでしばしば見られます。
臭いを置いておいても排泄物なので、色んな雑菌が含まれています。
爬虫類は飼育温度が高めなので、下手に放置すると雑菌が繁殖して環境ごと不潔になってしまうかもしれません。
と言っても爬虫類は人間よりよっぽど雑菌と上手く共生してると思うので、よほどでなければ平気とは思いますが、それでも発見したら都度掃除するのがいいと思います。

また、爬虫類の糞尿は排泄された当初は水分を含んでいるので、ケージに直でついて乾いてしまうと掃除の際めんどうなことになります。
糞尿をよく吸収する床材などを敷いて取り除きやすいようにするのも工夫の一つですね。


・餌やり(幼齢期)
哺乳類の給餌に慣れていると違和感があるかもしれませんが、通常爬虫類には毎日の給餌は必要ありません。
爬虫類は変温動物なので、環境温度により活性が変化しますが、基本的には動かないことでエネルギーを消費しない生き物です。
燃費がいいというかエコというのか、とにかく毎日の習慣的な食事よりも必要なときに必要な分だけ、という種が多いです。
蛇なんかはボールパイソンなどで半年ほど絶食する季節性拒食なんかがあるほか、レオパも健康な個体であれば1ヶ月程度の絶食であれば普通に耐えると言われています。

が、それは生体が健康な「成体」の場合です。
幼齢~成長期の爬虫類は躯体を仕上げるべくバクバク食べなければなりません。
蛇の場合は強すぎる胃酸で消化の際に自分の胃までダメージを受けることがあるらしいので、毎日あげると生体に負担をかけることになりますが、それでも成体より多くこまめな給仕が必要になります。
しっかり仕上げて健康な成体にすれば、そこから一気に手間がかからなくなるので、幼齢期の給餌はマメにするようにしましょう。


・環境温度、湿度の調整
ペットとして流通している爬虫類の中でも流行の種は、ある程度であれば適正温度とズレても問題なく生きる丈夫なものが多いです。
が、やはり温湿度が適正でないと消化不良や免疫力の低下で体調を崩しやすいので、気をつけて観察する必要があります。
サーモスタットなどがあれば楽ですね。


ある程度生体数が多い場合はエアコンや加湿機能付きセラミックヒーターなどで環境温度丸ごと管理してしまうのも楽です。


電気代は嵩みますが、生体数が増えれば一個体ごとの消費電力は低くなってきます。
また、温室を作って管理するのも効率・効用面でとても有効です。



・栄養補助(産卵シーズン)
産卵シーズンの♀は、卵を作るのに体の栄養(特にカルシウム)の多くを持っていかれます。
ので、給仕の際のダスティングや栄養補助食をこまめに与え、体調を崩さないようサポートする必要があります。
レオパの場合、いよいよ産卵の直前になると食べなくなるのですが、抱卵の途上ではバクバク餌を食べます。
1クラッチ2個の産卵を数回に渡って行い、そのタイミングで特に卵の殻の生成に使われるカルシウムが枯渇気味になり、クル病のリスクが上がります。
クル病はレオパ飼育者の"""恥"""ですって。
予防できる病気なんですから、気をつけましょう。
栄養補助食の作り方はコチラ


・卵の回収(産卵シーズンのみ)
有精卵の場合、回収が遅れれば環境的要因や、産んだ本人が卵を蹴飛ばしたり傷つけてしまうことで上手く孵化させられないケースがあります。
よく卵は転がしたらダメになると聞きますが、産み落とされてから胚が形成されるまでの間であれば多少の動きは問題ないかなと思います。
レオパなどは生体の食欲などからおおよそのタイミングを計ることができますが、そうでなくても抱卵体型を観察し、注視することで早く卵を回収することができます。
産卵シーズンはこまめに生体の様子を観察しましょう。

産卵シーズンは観察に栄養補給に何かと忙しいですね。


・生体の薬浴
新しい個体を導入した時は検疫のため元居た個体と隔離して飼育することが推奨されます。
その際、蛇では薬浴をすることで体についたダニや雑菌を除去し、環境の変化で弱った個体が体調を崩さないよう手助けをすることができます。
薬浴自体がストレスではあるのですが、生体の衛生面を整えるために必要な作業だと私は思います。
エキゾジアなど次亜塩素酸を10倍に希釈し30度程度に温めたお湯を用意し、そこに30分弱生体をくぐらせます。(薬浴の手法は人伝に教わったものです。)
蛇は変温動物なので、浸かる水が冷たいと活性を下げてしまいます。
30度では適正温度の高めくらいなので、生体の活性を上げ免疫力や消化効率を上げられます。

で、この薬浴は生体の衛生状態を改善するために行うものなので
例えば個体にダニがついていたり、糞尿が体にこびりついて汚れていたりするときにも、躯体をきれいにするのにも有効です。
人間でいうお風呂みたいなものですかね。
もちろん薬浴自体がストレスになることは間違いないので、頻繁にすべきではありません。
要は、そうしなくて済むような環境を整えておくことで不要なストレスはかけずに済むという話で。
必要に迫られた時は薬浴という手段もあります。
ダニだけならスネークレスキューでもいいですね。


という具合で、必然的に短いスパンでやらなければいけないものの他に、生体の調子や行動によって即座に対応するのが好ましいものが短期的なメンテナンスです。

一つ一つはそこまで手間でもないのですが、飼育匹数が増えると毎日何かしらやることがあって大変かもしれません。
それでも、犬の散歩よりは手間はかかりません。楽しくもありませんけど…